ミランダ センソレックスⅡ
SENSOREX Ⅱ
1972年、今からちょうど50年前に発売された機械式一眼レフカメラです。
キヤノンからF-1が発売されたのが前年の1971年、オリンパスのOM-1あたりが同期になります。
名作カメラが多数生まれたこの時代にあって、このカメラは非常に影が薄い、というかミランダという社名自体、ほとんど認知されていないんじゃないでしょうか。
技術的には日本のカメラ業界を牽引するメーカーだったようです。
ミランダのカメラは、どれもデザインが最高です。このカメラも上品さとマッチョさのバランスが取れていて、細部の作りも良いので好感が持てます。
SENSOREXというと先代のギャンギャンに尖ったデザインのほうが有名ですが、こちらのデザインもなかなか秀逸です。めっちゃかっこいい。
私が手に入れたのはブラックボディですが、SENSOREX系は黒が似合いますね...
国内ではかなり珍しいもののようです。
サイズはキヤノンのFX兄弟たちと同じくらいでしょうか。
標準レンズ込みでちょうど1㎏程度と少し重たいですが、あまり持ちづらくは感じません。
余談ですが、PELLIXの右肩のCanonの文字は新ロゴのほうなんですね。
ほかのFX兄弟のカメラや後輩のA-1(1978年)あたりも旧ロゴなので、てっきり新ロゴになるのはしばらく後のことかと。
そういえば、我が家のキヤノネットQL25(1965年)は新ロゴでした。
なにか使い分けがあるんでしょうか??
閑話休題。SENSOREXシリーズに限らず、SENSOMATシリーズやそれ以前のカメラに至るまで、ミランダの一眼レフはファインダー交換ができます。
ウエストレベルファインダーなどは持っていないので生かせていませんが、そんなことはいいんです!何よりカッチョイイ!!
もうひとつ、ミランダの特徴ともいえるのがレリーズボタンの位置で、上部ではなく前面についています。縦方向のブレを軽減できるとの噂はありますが、どれくらい効果があるのかは謎です。ちなみに後継のSENSOREX EEでは通常位置になるので、つまりそういうことでしょう。
個人的にはグッとくるんですけどね~
同じく前面シャッターを多く採用したトプコンやペトリと同様、ミランダは70年代で大きく失速し、カメラ事業から撤退することになります。どれも好きなメーカーなので、カメラ業界から去ってしまったのが残念でなりません。
ミランダは大体ジャンク
オークションでミランダのカメラが出ること自体少ないですが、たまに出てくるカメラたちも、たいていどこかしらに病気を抱えています。
我が家のSENSOREX Ⅱはこの間某オークションで手に入れたものですが、以下の不具合が。
・ペンタ部凹み
・露出計不動
・電池室液漏れ
・ファインダー内ゴミ、曇り
特にひどかったのが液漏れで、外観にもかなり影響が出ていました。下は修理前、修理後のそれぞれの画像です。修理の詳細についてもまた書こうと思います。
上に書いた不具合はすべて解決でき、今のところすこぶる快調です。
あとミランダのカメラは、同時期のカメラに比べてお値段が高くなりがちな気がします。このカメラは不具合だらけだったので10K円以内で落としたかったんですが、想像以上に白熱したオークションになってしまったためそうもいかず...
貧乏学生にとっては安い買い物ではなかったです。
状態の良いレンズ、というかレンズ自体の玉数が少ないのも使っていく上では難点かもしれません。比較的綺麗な標準レンズがついていたのはいいのですが、広角側が欲しいなと思ってもほとんど出ていなかったり。
ここらへんは5大メーカーに到底敵いません。独自マウントの辛いところです。
個人的には猛烈に好きでも人には勧めづらい。ミランダはそんなメーカーだと思います。
SENSOMAT系も欲しいなぁ...
余談
ミランダについて書いたので、関係があるような、ないようなことをつらつらと。
1969年7月の写真工業を先日手に入れたんですが、後ろのほうにミランダカメラ株式会社の記載が。
住所は「東京都北多摩郡狛江町和泉1441」とあります。
北多摩郡狛江町...?
狛江市なら聞いたことあるかも?
というわけで調べてみると、どうやら翌年1970年の10月に北多摩郡狛江町から狛江市となったそうです。古い資料を見る楽しみってこういうとこにもありますよね。
ちなみに狛江市は全国で2番目に小さい市だそうで。1番目は埼玉の蕨市らしいですが、こちらは知りませんでした。
狛江市の面積は6.39km^2ということですが、こんな小さくても市になれるんですね。
少し賢くなった気がします。