5000円で始めるマクロ撮影 [引き伸ばしレンズ]
引き伸ばしレンズ
引き伸ばしレンズはフィルム時代の引き伸ばし作業に使われたレンズ。
その使用目的のためか、すこぶる綺麗に解像します。
普通のレンズと違ってレンズ単体ではフォーカスすらできませんが、うまく使ってやればマクロ撮影の幅が広がります。
昆虫などの非常に小さい被写体を撮影したい方や普通の撮影に飽きてきた方、安く始められるのでおすすめです!
EL-NIKKOR 50mm f4
前々から引き伸ばしレンズに興味があって、お手頃だったEL-NIKKOR 50mm f4を手に入れました。
引き伸ばしレンズはl39マウントだから、キヤノンの一眼で使うためには①l39→m42アダプター、②m42ベローズ、③m42→EFアダプターの順に噛ませてやります。
ベローズは倍率の調整用で、ピントは自分が前後に動いて合わせます。
一度m42に変換するのは、アダプターが手に入りやすいのと中古のベローズが豊富で安く買えるから。
ほかのマウントのカメラで使いたい場合は③だけ替えてやればよいわけです。
いざ撮影!
カメラはEOS 6DとEOS Kiss X5を使い、全部手持ちで撮影しています。
使うカメラはなんでもいいですが、しっかりグリップできて、バリアングル液晶があるカメラが便利かもしれません。
屋内でも屋外でもストロボは使いましょ。
まずは6Dでサボテン。右は真ん中のあたりをクロップしたもの。肌の感じがきれ〜に写ってるでしょ!
ちょっと倍率を上げて腕時計。こっちもいい!
ただ右下にゴミが....。
萬年筆なんかもいいな〜
ここからKiss X5。
クサカゲロウの仲間かしら。1cmくらいの昆虫もしっかり撮れる。
みかんのヘタも、クロップ無しでここまで大きく!
撮影倍率のこと
被写体をどれくらい大きく撮れるか(どれくらい寄れるか)を表すのが撮影倍率で、
撮影倍率 = 像の大きさ / 被写体の大きさ
で求められます。
試しに定規を撮ってみると....
左が最低倍率、右が最高倍率。
Kiss X5のセンサーの横幅(=像の大きさ)は22mmくらいで、定規の写ってる部分の長さ(=被写体の大きさ)は7〜30mmくらい。
ここから撮影倍率を求めると、だいたい0.7〜3倍くらいかしら。
マクロレンズとして売られているものは最大でも1倍程度だから、それと比べてもかなりの高倍率。
まとめ
今回撮影に使ったレンズ、ベローズ、アダプターはヤフオクなどで揃えましたが、全部で5〜6000円くらいに収まりました。
選び方次第ですが、マクロレンズを買うより安く抑えられるはずです。写りの良さも文句なしなので、ぜひぜひ使ってみてください。
なにより撮るのが楽しいですよ!
これしか使ってないので詳しくないですが、最初はEL-NIKKORを選んでおけば間違いないと思います!
キヤノン ぺリックス - まばたきしない一眼レフ
PELLIX
PELLIXはキヤノンが1965年に発売した機械式一眼レフカメラです。
ペンタ部の文字が「Canon」でないことを除けばほかのFX兄弟のカメラにそっくりですが、中身はまさに異質で、唯一無二の魅力的なカメラです。
本機最大の特徴は、キヤノンのお家芸ともいえるペリクルミラーでしょう。
ペリクル(pellicle)は薄膜の意味で、おそらく本機の名前PELLIXは、pellicleとflexの造語だろうと思います。
ペリクルミラーがどんなものかというと、所謂ハーフミラーです。
PELLIXでは通常のミラーの代わりにペリクルミラーが固定されていて、入射光の7割がフィルム側に透過し、残り3割が反射してファインダーに送られます。
通常の一眼レフとは違いミラーを跳ね上げる必要がないため、シャッターが切れる瞬間のブラックアウトやミラーショックが生じないことが利点でしょうか。
しかしこの形式がマイナーであることからも分かるとおり、欠点もあります。
まず、ファインダーが暗いです。全光の3割しか見えないからです。
また、フィルム面も暗いです。全光の7割しかフィルムに届かないからです。
利点と欠点をどう捉えるかは人によると思いますが、一般的なユーザーが最初に手に取るようなカメラというよりは、特殊な用途を想定したカメラだと思います。
どんな人が、どんな用途で使っていたんでしょう?
実際に使っていた人の話も聞いてみたいです。
余談ですが、タイトルの「まばたきしない一眼レフ」は、発売時のキャッチコピーらしいです。
さすがキヤノン、いいコピー考えるな!と、感心してしまったので採用しました。
ここからは弟分のFTQLとの比較です。
PELLIXと、FTQLと。
1960~70年代にキヤノンから発売された一眼レフには、ボディ形状がFXとそっくりなものがいくつもあります。
発売順に並べると、FX、FP、PELLIX、FTQL、PELLIX QL、FTb、FTb-N、TLbです。
こいつらのことを私は勝手にFX兄弟と呼んでいますが、このうちFTQLは中期に位置する標準的な製品で、PELLIXの翌年1966年に発売されました。
この二機種、共通点を挙げればきりがないほど似ていますが、ボディや巻き上げレバー、セルフタイマー、シャッターロック、巻き戻しクランクなど、多くの部分でパーツの共通化を図っていることが見て取れます。後継のPELLIX QLはさらに似ているんでしょうか?欲しくなってきました。
違いもいくつかありますが、ミラー以外での最大の違いはシャッター幕の材質でしょう。FTQLを含むほかの兄弟が布製のシャッター幕を採用しているのに対し、PELLIXではチタン合金製のシャッター幕が採用されています。
これはシャッター焼け防止のためではないかと思います。
実際、キヤノンのレンジファインダーカメラの一部は、シャッター焼け防止のために金属製シャッター幕を採用しています。下の画像はキヤノン7のシャッター幕で、ステンレス製です。
この違いによるところが大きいのか、巻き上げのフィーリングは全く異なります。
PELLIXのほうが重厚感があり、「良いものを触っている」感があります。
シャッター音も全く違います。断然PELLIXのほうが好きだな~
ファインダーにシャッターがついており、閉じることができるのもPELLIXの特徴です。
本機の構造上、普通の一眼レフ以上にファインダーからの入射光には気を遣わねばなりません。
最後に
F-1が登場するまでのキヤノンの一眼レフは、スターが不在でどれもジャンク箱の常連。
プリズム腐食の持病持ちが多い印象です。
このPELLIXもハードオフの青箱から救出したもので、本体800円、純正ケースが100円という価格設定でした。
プリズム腐食がありますが、露出計は元気に動いています。
オークションでもかなりお安く出ているので、ぜひぜひ手に入れてみてください。
作りは良いですし、所有欲を満たしてくれます。
純正レンズが安いのも最高!
プリズムの蒸着面の修復については、いつかやってみたいなぁ。
ミランダ センソレックスⅡ
SENSOREX Ⅱ
1972年、今からちょうど50年前に発売された機械式一眼レフカメラです。
キヤノンからF-1が発売されたのが前年の1971年、オリンパスのOM-1あたりが同期になります。
名作カメラが多数生まれたこの時代にあって、このカメラは非常に影が薄い、というかミランダという社名自体、ほとんど認知されていないんじゃないでしょうか。
技術的には日本のカメラ業界を牽引するメーカーだったようです。
ミランダのカメラは、どれもデザインが最高です。このカメラも上品さとマッチョさのバランスが取れていて、細部の作りも良いので好感が持てます。
SENSOREXというと先代のギャンギャンに尖ったデザインのほうが有名ですが、こちらのデザインもなかなか秀逸です。めっちゃかっこいい。
私が手に入れたのはブラックボディですが、SENSOREX系は黒が似合いますね...
国内ではかなり珍しいもののようです。
サイズはキヤノンのFX兄弟たちと同じくらいでしょうか。
標準レンズ込みでちょうど1㎏程度と少し重たいですが、あまり持ちづらくは感じません。
余談ですが、PELLIXの右肩のCanonの文字は新ロゴのほうなんですね。
ほかのFX兄弟のカメラや後輩のA-1(1978年)あたりも旧ロゴなので、てっきり新ロゴになるのはしばらく後のことかと。
そういえば、我が家のキヤノネットQL25(1965年)は新ロゴでした。
なにか使い分けがあるんでしょうか??
閑話休題。SENSOREXシリーズに限らず、SENSOMATシリーズやそれ以前のカメラに至るまで、ミランダの一眼レフはファインダー交換ができます。
ウエストレベルファインダーなどは持っていないので生かせていませんが、そんなことはいいんです!何よりカッチョイイ!!
もうひとつ、ミランダの特徴ともいえるのがレリーズボタンの位置で、上部ではなく前面についています。縦方向のブレを軽減できるとの噂はありますが、どれくらい効果があるのかは謎です。ちなみに後継のSENSOREX EEでは通常位置になるので、つまりそういうことでしょう。
個人的にはグッとくるんですけどね~
同じく前面シャッターを多く採用したトプコンやペトリと同様、ミランダは70年代で大きく失速し、カメラ事業から撤退することになります。どれも好きなメーカーなので、カメラ業界から去ってしまったのが残念でなりません。
ミランダは大体ジャンク
オークションでミランダのカメラが出ること自体少ないですが、たまに出てくるカメラたちも、たいていどこかしらに病気を抱えています。
我が家のSENSOREX Ⅱはこの間某オークションで手に入れたものですが、以下の不具合が。
・ペンタ部凹み
・露出計不動
・電池室液漏れ
・ファインダー内ゴミ、曇り
特にひどかったのが液漏れで、外観にもかなり影響が出ていました。下は修理前、修理後のそれぞれの画像です。修理の詳細についてもまた書こうと思います。
上に書いた不具合はすべて解決でき、今のところすこぶる快調です。
あとミランダのカメラは、同時期のカメラに比べてお値段が高くなりがちな気がします。このカメラは不具合だらけだったので10K円以内で落としたかったんですが、想像以上に白熱したオークションになってしまったためそうもいかず...
貧乏学生にとっては安い買い物ではなかったです。
状態の良いレンズ、というかレンズ自体の玉数が少ないのも使っていく上では難点かもしれません。比較的綺麗な標準レンズがついていたのはいいのですが、広角側が欲しいなと思ってもほとんど出ていなかったり。
ここらへんは5大メーカーに到底敵いません。独自マウントの辛いところです。
個人的には猛烈に好きでも人には勧めづらい。ミランダはそんなメーカーだと思います。
SENSOMAT系も欲しいなぁ...
余談
ミランダについて書いたので、関係があるような、ないようなことをつらつらと。
1969年7月の写真工業を先日手に入れたんですが、後ろのほうにミランダカメラ株式会社の記載が。
住所は「東京都北多摩郡狛江町和泉1441」とあります。
北多摩郡狛江町...?
狛江市なら聞いたことあるかも?
というわけで調べてみると、どうやら翌年1970年の10月に北多摩郡狛江町から狛江市となったそうです。古い資料を見る楽しみってこういうとこにもありますよね。
ちなみに狛江市は全国で2番目に小さい市だそうで。1番目は埼玉の蕨市らしいですが、こちらは知りませんでした。
狛江市の面積は6.39km^2ということですが、こんな小さくても市になれるんですね。
少し賢くなった気がします。
FinePix S6000fd フォーカスエラーの修理
FinePix S6000fd
このカメラは富士フイルムから2006年に発売されたコンデジ(所謂ネオ一眼)です。
記録メディアがXDカードであったりと、操作系やスペックの面で流石に古さを感じますが、独自開発のCCDの評判が良く、使って楽しいカメラです。
我が家のS6000fdは、3年ほど前に某カメラ屋のジャンクコーナーにて手に入れたものです。
ちなみにお値段は税込580円でした。
消費税率はまだ8%ですね。
付属品も一通り揃ってこの値段だったので故障を疑いましたが、家に帰って確認すると問題なく使えました。ラッキー!
それからしばらく遊んだ後放置し、再び電源を入れたのがこの間のこと。
耳障りな音とともにこんな警告メッセージが。
よくある不具合らしく...
Googleで検索してみると、同じような事例がいくつか出てきます。
このカメラの持病なのかな?
このエラーが起こってしまうと、オートだけでなくマニュアルでのフォーカシングもできないし、シャッターを切ることもできない。要するに使い物になりません!
フレキシブルケーブルの接触不良が原因と思われるので、ひとまず関係しそうな箇所を分解して組み直す方針でいきます。
分解の前に
今回は必要ないような気もしますが、分解にあたってこちら を参考にするといいかもしれません。
分解するときは、ねじのつけ間違え、つけ忘れを防ぐために、紙に書いておくのがいいと思います。
赤で書いた数字は、↓のケースに書いておいた番号に対応させています。
これはセリアに売っているものなんですが、一つ一つに蓋がついているので、ねじの類を入れておくのに都合が良いです。
分解!
まずボディのねじ5本を外し、こじ開けます(ヘラのようなものを使うといいかも)。
メイン基板側とバックパネル側との間にケーブルが2本あるので、切らないように注意しつつ抜いておきます。
ケーブルを2箇所外すとファインダーが取れます。
残りのケーブルとねじ3本を外すと、基盤が外せます。
このとき奥の基盤とソケット(右写真)で接続されているので、少し外しづらいかも。
左写真の赤丸で囲んだ部分、裏にでっかいコンデンサがあり、非常に高電圧です。
うっかり触ると危険なので、抵抗を挟んで電圧が落ちるまで待ちましょう。
コネクタ1箇所とねじ4本を外すと、電池ボックスごと基盤を外すことができます。基盤と電池ボックスとをつなぐコネクタを外してもよいと思います。
ねじを2本外して金属板を取り外し、続いて右写真の赤丸で囲んだ部分、ねじ4本を外します。
その外側にも同じようにねじが並んでいますが、今回は内側だけを外します。
レンズユニットが取れました!
一眼レフ用の標準ズームみたいな見た目です。
どこまで分解すればいいのかよくわからないですが、とりあえず先に進みます。
レンズユニット裏側の金属板を外します。
センサーを固定しておくためのもののようです。
表裏の区別があるのかどうか知りませんが、とりあえず目印をつけておきます。
センサー部分は汚れたりすると厄介なので、分解後は速やかにどこかに入れておくとよいと思います!
この後少し進むも大した成果は得られそうになかったので、引き返して組み直すことにしました。
組み上げが甘いとバラしてやり直しになるので、できるだけ丁寧に!
...治った!!
問題なく撮影できるようになりました。
やっぱりどこかの接触不良のせいだったのかしら?
まとめ
分解して組み直しただけで治ってしまうので、同じ症状に苦しんでいる方はやってみてもいいと思います。
高電圧にさえ気をつければ、分解は容易です。
以前手に入れたジャンクコンデジも組み直すだけで治ったので、故障したデジカメがあれば、とりあえず分解するといいのかもしれません。